作成した文書の配布に一般的に利用されているPDFファイルフォーマット。
このPDFファイルを作成・編集するには当然専用のソフトウェアが必要になるのだが、皆さんはどのソフトを利用されているだろうか?
今回、EaseUS Todo Backup等のバックアップソフトでもお馴染みのEaseUSが2021年4月26日より新たにオールインワンPDF編集ソフト「EaseUS PDF Editor」を発売したので、このソフトウェアの使い勝手を検証してみたい。
EaseUS PDF Editorとは?
「EaseUS PDF Editor」は、EaseUS Software Co., Ltd.が2021年4月26日より発売を開始したオールインワンのPDF編集ソフトだ。
Windows 10/8.1/8/7に対応しており、価格は3,949円~購入可能。買い切り価格だと10,549円となる。
PDFファイルの作成や編集、WordやExcel等ファイル形式の相互変換を簡単に行うことができ、もちろん結合、分割、圧縮、作成、回転なども思いのまま。
OCRにも対応しているので、スキャナやカメラから取り込んだ画像から文字検索可能なPDFに変換することも可能だ。
主な特徴
- PDFファイルとExcel、Word、PowerPoint、写真との相互変換が1クリックで実現
- PDFファイルの作成、編集、変換、OCR、結合、分割、抽出、圧縮、回転、デジタル署名、暗号化、パスワード設定、ウォーターマーク追加等など数多くのPDF関連操作に対応
- 20言語を認識可能なOCR機能を搭載
- コメント、ボックス、アンダーライン、矢印、ハイライト
- 注釈機能や簡単メール送信機能でチームメンバとの共有もスムーズ
- 6つのコントロールパネルでフォームを作成可能
動作環境
オペレーティングシステム | Windows 10/8.1/8/7 |
---|---|
対応ファイルフォーマット | doc、docx、xls、xlsx、ppt、pptx、png、bmp、tiff、jpg、jpeg |
言語 | 英語、繫体中国語、日本語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語、フランス語、オランダ語、デンマーク語、チェコ語、フィンランド語、ハンガリー語、ノルウェー語、ポーランド語、スウェーデン語、トルコ語 |
OCRの対応言語 | 簡体中国語、繫体中国語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、エストニア語、フェロー語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ヘブライ語、ハンガリー語、アイスランド語、イタリア語、日本語、韓国語、ラトビア語、リトアニア語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア、スロバキア語、スペイン語、スウェーデン語、タイ語、トルコ語 |
価格・ライセンス体系
EaseUS PDF Editorには、以下の3つのライセンスが用意されており、好みのライセンスを選択できるようになっている。
ライセンス | 価格 | ライセンスの特徴 |
---|---|---|
月間ライセンス | 3,949円 |
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年間ライセンス | 6,589円 |
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永久無料ライセンス | 10,549円 |
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月間ライセンス/年間ライセンスは、買い切りライセンスではなく、定期購入しないといけないサブスクリプション制のライセンスとなっている。
つまり、定期購入をやめてライセンス期間が終了した場合、ソフトウェアを使用し続けることはできなくなる。
公式サイトのライセンス説明文では、このあたりの内容が分かりにくいのでもっとわかりやすく説明してもらいたいところ。
永久無料ライセンスは、買い切りライセンスなので、永久にソフトウェアを使用し続けられるし、その後のアップグレードも永久に行うことが可能だ。
長く利用したいなら、永久無料ライセンスの購入がおすすめ。
価格だけ見て判断せずにライセンスの特徴をしっかりと把握した上で、購入するようにしよう。
無料体験版もある
EaseUS PDF Editorには、機能を制限した無料体験版も提供されている。
無料体験版と有料版の機能の違いは以下の通り。
機能 | 体験版 | 製品版 |
---|---|---|
PDFをWord/Excelなどに変換 | 5ページまで | 無制限 |
ウォーターマークなし | × | 〇 |
無料アップグレード | × | 〇 |
年中無休のテクニカルサポート | × | 〇 |
無料版だと、PDFの保存でウォーターマークが入ってしまうので実用性は皆無だが、購入前の機能確認には大いに役立つはずだ。
購入を検討している人は、まずは無料体験版で使い勝手を試してみよう。
ダウンロード&インストール方法
以下のURLにアクセスし、「無料ダウンロード」ボタンをクリックする。
https://jp.easeus.com/pdf-editor/index.html
すると、「pdf_editor.exe」ファイルがダウンロードできるので、PCに保存し起動する。
「セットアップに使用する言語の選択」ダイアログが表示されるので「日本語」が選択されていることを確認し、「OK」ボタンをクリックする。
「EaseUS PDF Editor セットアップウィザードの開始」画面が表示されるので「次へ」ボタンをクリックする。
「使用許諾契約書の同意」画面が表示されるので「同意する」にチェックを入れて「次へ」ボタンをクリックする。
「インストール先の指定」画面が表示されるので「次へ」ボタンをクリックする。
「追加タスクの選択」画面が表示されるので「次へ」ボタンをクリックする。
「インストール準備完了」画面が表示されるので「インストール」ボタンをクリックする。
インストールが開始されるの完了まで少し待とう。
インストールが完了すると自動的にWEBブラウザで以下の画面が表示される。
「EaseUS PDF Editor セットアップウィザードの完了」画面が表示されているので、「完了」ボタンをクリックする。
上の画面で「Ease US PDF Editorを実行する」にチェックが入っている場合は、自動的にEase US PDF Editorが起動するはずだ。
自分で起動する場合は、デスクトップに作成された「EaseUS PDF Editor」のショートカットアイコンから起動しよう。
起動すると以下の画面が表示される。
無料体験版として使用する場合は、「トライアル」ボタンをクリックすればOK。
有料版として使用する場合は、商品購入後に「ライセンスをご入力」からアクティベーションコードを入力すればよい。
有償版の使用レビュー
機能が豊富で全ての機能を取り上げるのは難しいので、今回はよく使うであろうPDF変換、分割、結合機能に絞って紹介したい
WordファイルからPDFファイルに変換
個人的にはWord文書をPDFファイルにすることが多いので、まずはWordファイルからPDFファイルへの変換機能を試してみた。
変換機能を試すサンプルファイルとして、テンプレートから作成した以下のカレンダーのWordファイルを使用する。
PDFファイルへ変換を行うには、上部のメニューアイコンから「作成」をクリックし、プルダウンメニューの「ファイルから」をクリックする。
「開く」ダイアログが表示されるので、PDFファイルにしたいWordファイルを選択して「開く」ボタンをクリックする。
すると以下のようにPDFへの変換進捗ダイアログが表示されるので完了まで待とう。
変換が完了すると、以下のように画面内にPDFファイルとして読み込まれるので、問題なく変換されているか確認しよう。
全ページ確認したところ全てきれいにPDF化できていた。
問題なければ、右上にある保存アイコンをクリックして、プルダウンメニューから「名前を付けて保存」をクリックする。
「名前を付けて保存」ダイアログが表示されるので、ファイル名を入力し「保存」ボタンをクリックすれば、PDFファイルとして保存することができる。
PDFファイルからWordファイルに変換
EaseUS PDF Editorは、PDFファイルをWordファイル等の他のファイル形式に変換することが可能だ。
ビジネスにおいては、クライアントからレビューしないといけない何らかの文書がPDFファイルで送られてきてしまったなんてことがあったりする。そんな時に、PDFファイルをWordファイルに変換できると便利だったりする。
今回は、先ほどWordからPDFに変換した「サンプル.pdf」を利用して、Wordファイルに再変換してみたい。
他のファイル形式に変換したい場合は、PDFファイルを開いている状態で、上部のメニューアイコンの「変換」をクリックし、プルダウンメニューから変換したいファイル形式をクリックする。
今回は、Wordファイルに変換するので「Word」をクリックする。
すると、以下のようにWordファイルへの変換進捗ダイアログが表示されるので、完了まで待とう。
変換が完了すると、エクスプローラーが自動起動して変換したファイルがアクティブになった状態で表示されるはずだ。
変換に使用したPDFファイルが保存されているフォルダに、同じファイル名を使用して変換ファイルが保存されるようだ。
すでに同名のファイルがある場合は、(2)などの数字を付けてファイルが作成される仕様らしい。
個人的には、変換ファイル形式を選択した際に、ファイルの保存先ダイアログが表示されて保存先フォルダとファイル名を自分で決めさせてくれると嬉しいのだが、そうなっていないところが個人的にはちょっと不満な点かな。
で、実際に元のオリジナルファイル(左)と、PDF化後にWordに再変換したWordファイル(右)を見比べてみた。
見た目的にはほぼ同じだが、細かなところで若干違う結果になっていた。
例えば、年月の文字の所が表ではなくなっていたり、日付欄の文字があるところは、日付と文字でセル分割されている。
この手のPDF変換ソフトで完璧に元のオリジナルファイルとそっくりに復元するのはなかなか難しいと思っておいたほうがいい。
今回のケースでは、ほぼ同じ結果に復元でき、編集するうえでも特に問題にはならない結果だった。
しかし、複雑なレイアウトになっているPDFファイルの場合、他形式のファイルに変換する際うまくいかないことが一般的によくあるので、その点は注意したほうがいいだろう。
PDFファイルの分割
「ドキュメントを分割」機能を使って、PDF化した12か月分のカレンダーをそれぞれの月ごとのPDFファイルに分割してみる。
ページをバラバラに分割するには、上部のメニューアイコンから「ページ」をクリックする。すると右側にページメニューが表示されるので、「ドキュメントの分割」をクリックする。
ドキュメントを分割するダイアログが表示されるので、「ページ数」の「最大ページ」を1に設定し「OK」ボタンをクリックする。
すると、以下のダイアログが表示された。
表示されるメッセージがバグってるようだ。明らかにバグなのでメーカーには修正してもらいたい所。
エクスプローラーで使用したPDFファイルがあるフォルダを確認すると、以下の通りファイル名の下に「_パート1」といった感じのナンバーが降られたファイルが12個出来上がっている。
こんな感じで、ページの分割も簡単に行うことができる。
PDFファイルの結合
PDFファイルの結合機能は、個人的に非常によく使う機能だ。
例えば、手持ちの書籍を裁断、スキャンしてPDFファイルにし、それらを結合して電子書籍にしたり、ほかにも写真で撮影したものをまとめてPDF化したりと幅広く活用することができる。
今回は、先ほど「PDFファイルの分割」機能を使用して単月ごとに分割した各PDFファイルをすべて結合して、再度1年分のカレンダーに戻してみることにする。
PDFファイルを結合するには、画面中央のメニューにある「PDFを結合」をクリックする。
「ファイルを追加する」ダイアログが表示される。上部の「ファイルを追加する」ボタンをクリックすると、プルダウンが表示され、「ファイルを追加する」か「フォルダを追加する」のどちらかの方法で追加することができる。
正直、この操作インターフェースは、非常にくどいので改善したほうがいいだろう。
1度のクリックで済む場合に、ユーザーに何度もクリックさせるのはあまりよいユーザーインターフェースではない。
最初から「ファイルの追加」と「フォルダの追加」の2つのボタンがダイアログ内に表示されていれば、ユーザーは1クリックで選択できるので、個人的にはそのように改善してもらいたい所。
ダメ出しはこのくらいにして、今回はメニューから「ファイルを追加する」をクリック。
「開く」ダイアログが表示されるので、「Ctrlキー」や「Shiftキー」を活用して追加したいファイルをすべて選択し、「開く」ボタンをクリックする。
選択したファイルの一覧がダイアログ内に表示されるので、ファイルの順番の変更や間違って余計なファイルまで追加されていた場合は、下に表示されている「上へ移動」「下へ移動」「消去する」の三つのボタンを使って適宜調整を行おう。
すると、以下のように結合された結果の「Combine1.pdf」ファイルが画面内に表示される。
あとは、右上の保存アイコンからファイルを保存すれば、結合したPDFファイルが完成する。
使ってみた感想
今回、PDFの変換(Word→PDF、PDF→Word)、分割、結合と基本的な操作に限定して使用してみたが、操作自体は非常に簡単に行うことができた。
画面がごちゃごちゃしておらず、UIは比較的シンプルにまとまっているので、直感的に操作できてしまうのは非常に良い点だと思う。
備わっている機能も非常に豊富なので、このソフト1つあればPDF関連の操作は全て事足りるはず。
ただし、以下の点については少し不満に感じたので改善したほうが良いだろう。
- ユーザーインターフェース周りで改善したほうがよい箇所がある
- 公式サイトのライセンス周りの説明が簡素すぎてわかりにくい
- 英語の説明書しかなく日本語の取り扱い説明書がない
特に、日本語の取り扱い説明書がないというのはよろしくない。
基本的に日本人は、英語が苦手なので「日本語の説明書がない→サポートが悪い→不安だし使わない」という思考パターンになる事がほとんどではないかと思う。
日本人ユーザーを増やしたいなら、日本語マニュアルを整備すべきだろう。
最後に
「EaseUS PDF Editor」は、高機能なオールインワンPDF編集ソフトでありながら、永久アップデート付きの買い切り価格で約1万円弱と価格も比較的リーズナブル。
コストを削減したい企業ユーザーの方は、購入を検討してみるといいだろう。
まずは無料試用版で自分がやりたいことができるかチェックしてみてほしい。
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