「EaseUS Partition Master」はWindows用のディスク管理、パーティション管理ソフトだ。
当記事では、パーティション管理ソフト「EaseUS Partition Master」の使い方や使ってみた感想等を紹介しているので、パーティション管理ソフトを選ぶ時の参考にしてみてほしい。
EaseUS Partition Masterとは?
EaseUS Partition Masterは、EaseUS Software Co., Ltd.社が提供しているWindows用の総合ディスク管理・パーティション管理ソフトだ。
EaseUSは、EaseUS Todo Backupというバックアップソフトでもおなじみのソフトウェアメーカーなので、名前を聞いたことがある人も多いだろう。
EaseUS Partition Masterには、一般ユーザー向けには、free版(無料)とプロ版(有料)の2種類が提供されている。
無料版でもパーティションの作成、削除、コピー、サイズ変更、hdd 消去、ssd hdd フォーマット、MBR GPT 変換といった基本的なパーティション操作を行うことが可能だ。
そのため、特殊なことをしないのであれば、EaseUS Partition Master 無料版の利用で事足りる人もいるだろう。
有料のPro版では、ダイナミックディスクの操作やOSの移行、パーティションの復元、扱えるHDD容量が無制限になる等、さらに高度な機能をサポートしている。
free版とpro版の違いは?
EaseUS Partition Masterのfree版とpro版の違いは以下の通り。
free版 | pro版 | |
---|---|---|
価格 | 無料 | 5,478円 |
パーティションのサイズの変更のスピード | 普通 | 早い |
パーティション操作 (リサイズ/移動/コピー/拡張/結合/分割/エラーチェック等) | 〇 | 〇 |
ディスク換装する際のディスク/パーティションコピー | 〇 | 〇 |
タスクに失敗した時のデータ保護機能 | 〇 | 〇 |
4Kアライメント | 〇 | 〇 |
GPT、MBRのシステムディスクにおける相互変換 | 〇 | 〇 |
Windows XP/Vista/7/8/8.1/10をサポート | 〇 | 〇 |
ディスククリーンアップ&最適化 | 〇 | 〇 |
コマンドラインをサポート | 〇 | 〇 |
ダイナミックディスクでボリュームを作成 | × | 〇 |
ダイナミックボリュームのサイズ変更 | × | 〇 |
Windows PEブートディスクの作成 | × | 〇 |
SSD/HDDまでOSを移行 | × | 〇 |
パーティションリカバリー | × | 〇 |
無料技術サポート | × | 〇 |
HDD容量 | 8TB | 制限なし |
インストール方法・起動方法
2021年11月23日現在、「EaseUS Partition Master Free 16.5」のインストーラーは以下のページよりダウンロードできる。
https://jp.easeus.com/partition-manager-software/free.html
なお、当記事における解説は「EaseUS Partition Master Professional 16.5」を使用して行っている。free版とは画面表示など異なる場合があるかもしれないので注意してほしい。
インストール作業は極めて簡単だ。
インストーラーを起動すると以下の画面が表示されるので、「今すぐインストールする」ボタンをクリックするだけ。その後はユーザーが特別操作することなく全て自動でインストールが完了する。
プログラムのダウンロード中の表示があるのでしばらく待つ。
ダウンロードが終わったら次はインストール中の表示になるので完了まで待つ。
インストールが完了すると、以下の画面が表示されるので「今すぐ始める」ボタンをクリックする。
すると、EaseUS Partition Master Suiteという画面が起動する。
この画面は「EaseUS Partition Master」本体ではなくEaseUS各製品のランチャー画面になっている。
Partition Managerの「今すぐスタート」をクリックすると、EaseUS Partition Masterを起動することが可能だ。
ただし、毎回ランチャー経由で起動するのは面倒だ。
Windowsメニュー内に「EaseUS Partition Master」フォルダが作られているので、次回起動時はそのフォルダ内の「EaseUS Partition Master」をクリックするか、デスクトップにショートカットを作って、ショートカットから起動するようにしよう。
EaseUS Partition Masterを起動すると以下の画面が表示される。
pro版の場合、ライセンス認証を行わないとTrial Editionになってしまい機能が制限されるので、速やかにライセンス認証を行おう。
ライセンス認証を行うには、ウィンドウ上部にある「ライセンス認証」ボタンをクリックする。
すると、以下の画面が表示されるので、下部にある「ライセンスコード」の所に、購入時に発行されたライセンスコードを入力し「ライセンス認証」ボタンをクリックする。
ライセンス認証が正常に完了すると、アプリケーションタイトルの「Trial Edition」表記から「Pro版」という表記に変わる。
使い方
今回、「EaseUS Partition Master Professional 16.5」をWindows10 PCにインストールし、外付けUSBハードディスク(ディスク1)を使用して基本的なパーティション操作を試してみた。
全てのパーティションを削除
まずは、接続したUSB接続ハードディスクのすべてのパーティションを削除してみた。
全てのパーティションを削除するには、対象のディスクをクリックして、右側にある「すべて削除」をクリックする。
「確認ダイアログ」が表示されるので「OK」ボタンをクリックする。
すると以下のように、選択したドライブが未割り当て表示に変わる。ただし、この時点ではまだ操作は実行されていない。
実行するには、左上にある「1つの操作を実行する」ボタンをクリックしよう。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示されるので完了まで待とう。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
これで、選択したドライブのすべてのパーティションが削除された。
パーティションを作成する
続いてドライブの容量全てを使ってパーティションを1つ作成してみる。
パーティションを作成するには、未割り当て領域を選択し、右側にある「作成」をクリックする。
「作成」画面が表示されるので、「サイズと位置を決定する」の所で、パーティションサイズ、ドライブレター、パーティションラベル(必要な場合)、ファイルシステムを適切に設定しよう。
設定したら「OK」ボタンをクリックする。
上部の「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示される。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
これで、パーティション操作とフォーマット操作が一度に完了し、Windows上でドライブとして認識されるようになる。
パーティションのフォーマット
現在のパーティションフォーマットは「NTFS」になっているが、パーティションをFAT32でフォーマットしなおしてみる。
ちなみに、EaseUS Partition Masterでは、以下のファイルフォーマットに対応している。
- NTFS
- FAT32
- EXT2
- EXT3
- EXT4
- exFAT
パーティションのフォーマットを行うには、フォーマットを行いたいパーティションを右クリックして表示されるメニューから「フォーマット」をクリックする。
「パーティションをフォーマット」画面が表示されるので、「ファイルシステム」から適切なもの(今回はFAT32を選択)を選び「OK」ボタンをクリックする。
「注意」ダイアログボックスが表示されるので、「OK」ボタンをクリックする。
上部の「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示される。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
これで、パーティションのフォーマットは完了となる。
パーティションの分割
パーティション分割を行うと、1つのパーティションを2つのパーティションに分割することができる。
パーティションの分割を行うには、分割したいパーティションを選択して、右側にある「パーティション分割」をクリックする。
「パーティション分割」画面が表示されるので、新しく作成する領域のパーティションサイズやドライブレター、パーティションラベル、ファイルシステムを設定し「OK」ボタンをクリックする。
上部の「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示される。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
これで、パーティションの分割操作は完了だ。
パーティションの拡張・縮小
パーティションサイズを拡張・縮小するには、拡張したいパーティションを選択し、右側にある「拡張/縮小」をクリックする。
「ディスクレイアウトの調整」画面が表示されるので、変更後のパーティションサイズを設定し「OK」ボタンをクリックする。
上部の「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示される。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
以上で、パーティションの拡大・縮小操作は完了だ。
パーティションの結合
パーティションの結合機能を利用すると、隣り合うパーティションを結合して1つのパーティションにすることができる。
パーティションの結合を行うには、1つのパーティションを選択して、右側にある「マージ」をクリックする。
マージ画面が表示されるので、マージを行うパーティションにチェックを入れて「OK」ボタンをクリックする。
上部の「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示される。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
以上で、パーティションの結合操作は完了となる。
パーティションの削除
パーティションの削除を実行すると、パーティションに保存されていたデータは全部消去され、その領域は未割り当て領域になる。
今回、後で紹介するパーティションの復元機能をテストするために、削除するパーティションに4枚の画像ファイルを保存した上でパーティションの削除を行ってみる。
パーティションの削除を行うには、削除したいパーティションを選択し、右側から「削除」をクリックする。
確認画面が表示されるので、「OK」ボタンをクリックする。
上部の「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示される。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
以上で、パーティションの削除操作は完了だ。
パーティションの復元
パーティションの復元機能を利用すると、削除されたパーティションを復元することができる。
万が一誤ってパーティションを削除してしまった場合でも、この機能があれば安心だ。
パーティションを復元するには、上部にある「パーティションの復元」をクリックする。
「パーティションの復元」画面が表示されるので、紛失したパーティションが存在していたドライブを選択して「スキャン」ボタンをクリックする。
スキャンが完了すると以下画面が表示され、復元の可能性があるパーティションの一覧が表示される。
復元予測状態が良いとなっていれば、復元できる可能性は高くなる。
表示されたパーティション行をクリックすると、以下のようにパーティションの内容を表示することが可能だ。
今回、一番上に表示されていたパーティションをダブルクリックした時に以下のcorgiの4つの画像ファイル名が表示されたので、このパーティションが先ほど消去されたパーティションだと判断することができた。
確認を終えたら「OK」ボタンをクリックして画面を閉じよう。
復元すべきパーティションがわかったら、そのパーティションにチェックを入れて「実行」ボタンをクリックする。
パーティションの復元処理が始まるので、完了までしばらく待とう。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
すると、以下のようにパーティションが復活し、再びEドライブとして使用できるようになった。
ファイルもご覧の通り元通りに復活。
パーティションデータの消去
パーティションデータの消去を行うと、パーティション内のデータに0か1のようなコードで上書きしてからパーティションが削除される。
パーティションの削除機能を利用した場合は、データを復元できてしまうリスクがあるが、パーティションデータの消去機能を使えば、パーティション上のデータを復元できないようにしたうえでパーティションを削除することが可能だ。
秘匿性の高いデータを保存していたパーティションを削除したい時は、この「パーティションデータの消去」機能を使用しよう。
今回、本当にファイルが復元できないかチェックするために、先ほどの犬の画像4ファイルを残したまま、パーティションデータの消去機能を試してみた。
パーティションデータを消去するには、対象のパーティションを右クリックして表示されるメニューから「データを消去」をクリックする。
データを消去画面が表示されるので、パーティションデータ除去の回数を設定(今回は1回)し「OK」ボタンをクリックする。
回数を増やせば増やすほど復元される可能性は下がるが、その分処理時間が長くなる
上部の「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示されるので完了まで待とう。完了したら「完了」ボタンをクリックする。
これで、削除したパーティションに存在していたファイルは全て完全削除されているはずだ。
新たにパーティションを作成した後に、フリーのファイル復元ソフトである「Recuba」を使ってファイルが復元できるかチェックしてみたが、復元可能なファイルは1つもみつからなかった。
問題なく完全削除されているようだ。
ディスクの完全消去
HDDやSSDを他者に譲渡したり廃棄したりする際には、ディスクデータを完全消去しておかないと個人情報や秘匿情報が流出してしまうリスクがある。
EASEUS Partition Masterには、HDDやSSD上のすべてのデータを完全に削除する機能が搭載されているので、譲渡や処分を行う前にはディスクの完全消去を実施しておこう。
ディスクのデータを完全消去するには、ディスクをクリックして右メニューから「データを消去」をクリックする。
「ディスクデータ除去の回数を指定」で回数を指定(今回は1回)して「OK」ボタンをクリックする。
回数を増やせば増やすほど復元される可能性は下がるが、その分処理時間が倍増していくので注意。
上部にある「1つの操作を実行する」ボタンをクリックする。
「保留中の操作」画面が表示されるので、内容を確認して「適用」ボタンをクリックする。
「操作の進捗状況」画面が表示されるので完了まで待とう。
今回、76.69GBのHDDの完全消去にかかった時間は、約35分だった。
完了したら「完了」ボタンをクリックする。
これで、ディスクが完全に消去された状態になる。
まとめ
「EaseUS Partition Master」には非常に多くの機能が搭載されているが、今回は基本的なパーティション操作機能に絞って使い方を紹介した。
使ってみた感想は、良くも悪くもベーシックなインターフェースという印象だ。基本的なPC知識があれば普通に使いこなせると思う。
パーティション操作を行っても、いったん保留中の操作として留め置かれ、「操作を実行する」ボタンから「適用」を行うことで初めて実際の処理が実行されるという安心・安全な設計になっているのはうれしいポイント。
保留中の状態であれば、パーティション操作はいつでも取り消せるようになっているので、安心してパーティション操作が可能だ。
使っていて気になったのは、日本語の表現について。
例えば「データの消去」という表現は単にデータを消去するだけという意味に見えてしまう。完全に削除することを意味するなら、データの完全削除とすべきだ。
また、「マージ」という表現も「結合」という日本語にした方がわかりやすい。
非常に細かな点ではあるが、個人的にはよりわかりやすい表現を採用してもらいたい所だ。
EASEUS Partition Master Proには、今回紹介した機能以外にも便利な機能がたくさん搭載されており、このソフト1つあればパーティションがらみの操作に困ることはないだろう。
ただ、free版でもかなりのことができるので、まずはfree版で機能を試してみよう。
free版の機能だけではできない場合は、有料版の購入を検討してみるといいだろう。
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