当サイトで初めて夢の翻訳機「POCKETALK S(ポケトークS)」のレビューをしたのが2020年9月。

それから約1年5カ月たち、当時よりもポケトークSがかなり進化を遂げていた。
今回、ソースネクスト様よりレビュー用にポケトークSを提供いただけたので、2022年1月31日現在において、ポケトークSがどれだけ進化したのかをチェックしてみた。

今回は黒色のポケトークSを使用
前回のレビューの際は白ボディのポケトークSでレビューを行ったが、今回は黒ボディのポケトークSを使ってレビューしていく。

黒色もなかなかいい感じ。
ポケトークはどう進化した?アップデート情報まとめ
前回ポケトークSをレビューした時からどれだけ進化したのかを、アップデート情報を確認しながらまとめてみた。
語学学習にも使える!「ハンズフリー翻訳機能(β版)」
2021年3月15日(月)にソフトウェアアップデートにより、ハンズフリー翻訳機能が利用できるようになっている。
ハンズフリー翻訳機能というのは、通常のポケトークの翻訳と違い、ボタンを押さずにリアルタイムで入力音声を翻訳してポケトーク画面やWEBブラウザに翻訳文章を表示していく機能だ。
ハンズフリー翻訳を利用するには、Wi-Fi接続が必須となり、翻訳結果はテキスト表示のみで音声出力には対応していない。
まだ、β機能となっており今後サービス内容の変更や終了する可能性もある点には注意が必要だ。
この機能のすごい所は、ポケトーク本体の画面だけでなく、PCやスマホなどのWEBブラウザ上に翻訳結果を表示できるところだ。
ポケトークS本体での利用だと、画面が小さいために訳文がどんどん流れて行ってしまい意味を確認しずらい。
そのため、ポケトーク本体でのハンズフリー翻訳はあまり使い勝手が良いとは言えない。
でも、WEBブラウザで表示させる機能があるおかけで、訳文をしっかり把握することができ非常に便利に使用することができる。
ブラウザ表示させるには、ハンズフリー翻訳機能の画面にある右上の「︙」ボタンをタップしてブラウザ表示ボタンをONにする。すると、接続に必要な情報が表示される。

後は、PCで表示URLにアクセスして共有番号とパスワードを入力すれば、リアルタイム翻訳をWEBブラウザ上に表示できるようになる。
スマホの場合は、表示されているQRコードを読み取ることで、共有番号やパスワードを入力する手間なくスマホのWEBブラウザにリアルタイム翻訳画面を表示させることが可能だ。
PCで指定のURLにアクセスすると以下の画面が表示される。

以下は、共有番号とパスワード入力後の初期画面。

ハンズフリー翻訳機能の用途としては以下のようなものが考えられる。
- 外国人を含むWEB会議等(グループ翻訳の方が適している?)
- 語学会話教室での学習補助(先生の話した言葉をリアルタイム翻訳して生徒のPC・スマホのブラウザに表示させる)
- 発表会・スピーチ・講演会(スピーチ内容をリアルタイム翻訳してPCブラウザに表示しプロジェクターでスクリーン表示させる)
- 語学学習(英語ニュース、英語ポッドキャスト、海外Youtuber等をリアルタイム翻訳させて勉強する)
個人的に使ってみてめちゃくちゃ便利だと思ったのが「VOA Learning English」をハンズフリー翻訳で活用する方法だ。
「VOA Learning English」は、アメリカ合衆国政府が運営している、英語を母語としない人々のために比較的簡単な単語と文法を使ってニュースを届けてくれる英語学習者向けのニュースサイトだ。
世界中の誰もが完全無料で利用することができ、英語のスクリプトと英語音声を毎日配信してくれるので、英語学習者にはめちゃくちゃ有益なサイトになっている。
この「VOA Learning English」とポケトークSのハンズフリー翻訳機能の相性がめちゃくちゃ良いのだ。
一般的な英語ニュースサイトだと、話者が早口で間がなく話し続けてしまうので、センテンスの区切りを認識できずにずーと聞き取りモードになってしまいあとからドカンと翻訳されてしまう。
しかし、VOA Learning Englishで提供される英語音声は比較的ゆっくりでセンテンスの間に少し間を入れてくれているので、適切なタイミングでハンズフリー翻訳することができてしまうのだ。
VOA Learning Englishでは、英語スクリプトと英語音声のみしか提供されないので日本語で意味を把握したい時は自分で全て翻訳する必要があった。
でも、PCでVOA Learning Englishの音声を再生させて、ポケトークSのハンズフリー翻訳で音を入力してやれば以下のようにリアルタイムで翻訳され、簡単に意味を把握することができる。

これは、英語学習の強力な味方になってくれると思うので、英語の学習をしている人は是非一度「VOA Learning English」+「ポケトークのハンズフリー翻訳」を試してみてほしい。
複数のポケトーク間で翻訳できる「グループ翻訳機能」
2021年8月18日(水)のソフトウェアアップデートより、グループ翻訳機能が追加されている。
グループ翻訳を利用すると、複数のポケトーク間でコミュニケーションを取ることが可能で、自国語を話すだけで、相手が設定した言語でそれぞれ一斉にメッセージを送ることが可能だ。

ネックなのが、参加者全員ポケトークを所有している必要があるという事。
コミニケーションを取りたい外国人にポケトーク買ってくれと頼むのもなかなか厳しいと思うので(笑)個人用途でこの機能を使用するのはちょっと難しいかなという印象だ。
グローバルで活動している企業が必要な社員にポケトークを配布して、外国人が入り混じるグループ会議等で使用するような使い方になるのではないかと思う。
グローバルなWEB会議が捗る「ポケトーク字幕機能」
2021年9月9日(木)のソフトウェアアップデートよりポケトーク字幕という機能が利用できるようになっている。
ポケトーク字幕は、ポケトークで翻訳した結果を、Zoom等のリモート会議システムの画面上に字幕のように表示することができる機能だ。
ポケトーク字幕を使用するには、ポケトーク字幕ソフトウェア(無料)をPCにインストールする必要がある。
当初は、ポケトーク字幕を使用するためにポケトーク本体も使う必要があったが、2022年1月31日よりポケトークを持っていない方でも、ポケトーク字幕ソフトから直接音声を入力して翻訳させることが可能になった。※mac版は2022年2月に提供予定
ポケトーク字幕は、2022年3月末までは無料で利用できるが、2022年4月以降は月額1,100円の有料提供となる。
ポケトーク本体を持っていなくてもポケトーク字幕は使用できるので、有料提供となる前にソフトをダウンロードして自分で試してみることを是非ともお勧めする。
ポケトーク字幕に対応しているリモート会議サービスは以下の通りだ。
- Zoom
- Skype
- Microsoft Teams
- Googleハングアウト
- Google Meet
- LINE
- Slack
- BlueJeans
- Cisco Webex Meetings
- Cisco Webex Teams
- Discord
- OBS
- V-CUBE
- Chatwork
ハンズフリー翻訳機能(β版)でも似たようなことができるが、ブラウザを見ないと翻訳結果がわからないため、リモート会議中には使いずらい。
ポケトーク字幕であれば、画面上に直接字幕のように訳文が表示されるので、リモート会議用途であれば「ポケトーク字幕」の方が圧倒的に使いやすいだろう。
今回、実際にZoomを使用して、ポケトーク字幕を試してみた。
スマホでZoom会議をホストして、ノートPC(ポケトーク字幕をインストール)から会議に参加して動作確認を行った。
以下が、まだ何も話していない時のホスト側に写っている映像。

ポケトークの翻訳方向を日本語から英語に設定した状態で日本語「私は現在ポケトークを使用して話しています」と発話した所、ホスト側の画面に以下の英語字幕が表示された。

今度は逆に、ポケトークの翻訳方向を英語から日本語に設定した状態で「I’m currently talking using Poketalk」と発話してみた所、以下の日本語が表示された。

PCからの音声入力も試してみた。ポケトーク字幕ソフト上では、自身の映像と表示される字幕を確認することが可能だ。この映像が相手の画面に映ることになる。

「押しながら話してください」というボタンを押しながら発話話すことで、翻訳文を相手の画面に字幕表示させることが可能だ。
ポケトーク本体を使う場合だと設定が少し面倒なのだが、PCソフトの場合は簡単に同じことができるので、ポケトーク本体をわざわざ使う必要はない感じだ。
それにしても、ポケトーク字幕は本当にすごいし、面白い。
同時にとんでもない時代が来てしまったと驚きを隠せない。
グローバルでやり取りする企業には目からうろこではないだろうか。
実用的にどこまで問題なく使えるのかは正直未知数だが、グローバルにやり取りする企業は是非使ってみるといいのではないかと思う。
ポケトーク字幕は、skype等にも対応しているので、企業だけでなく個人で外国人とコミュニケーションとるためにも十分使用できるポテンシャルを持っていると思う。
その際にネックなのが有料であるという点だろう。個人で外国人と話したいけど見ず知らずの相手に有料サービスを購入してくれとはやはり言えない。
何らかの広告サービスの仕組みをつかって個人間は無料で利用できるようになれば世界中の個人が使うようになるのではないだろうか?
そうなれば世界がもっと身近になるので、ソースネクスト様には是非無料で利用できる仕組みを用意してほしい所だ。
対応言語がさらに追加され合計82言語に
2022年1月30日現在、ポケトークSでは、音声とテキスト両翻訳対応言語が62言語、テキストのみ翻訳言語が20言語、合計82言語に対応している。
初期レビューした2020年9月の時より、以下言語の追加が行われているようだ。
音声とテキストに翻訳が可能
- アルバニア語
- ボスニア語
- マケドニア語
- カンナダ語
- テルグ語
- マラヤ―ラム語
- ペルシャ語
テキストのみに翻訳
- ウズベク語
- エストニア語
- パンジャーブ語
- モンゴル語
一部言語でDeepL翻訳エンジンを採用
一部言語の翻訳エンジンにDeepL翻訳エンジンを採用して一部の言語で翻訳精度が向上しているとのことだ。
DeepL翻訳は、ドイツの会社が提供するAI翻訳サービスで、結構自然な日本語に翻訳してくれるので、私も英語のWEB翻訳で常用している。
そんなDeepLの翻訳エンジンを採用しているのはうれしい限り。
一部の言語というのがどの言語を指しているのかよくわからなかったのだが、DeepL翻訳が対応しているのが以下の言語となるので、これらの翻訳でDeepL翻訳エンジンが使用されているのではないかと思う。
- イタリア語
- エストニア語
- オランダ語
- ギリシャ語
- スウェーデン語
- スペイン語
- スロバキア語
- スロベニア語
- チェコ語
- デンマーク語
- ドイツ語
- ハンガリー語
- フィンランド語
- フランス語
- ブルガリア語
- ポーランド語
- ポルトガル語
- ラトビア語
- リトアニア語
- ルーマニア語
- ロシア語
- 英語
- 中国語
- 日本語
ちなみに、カメラ翻訳でもDeepL翻訳エンジンが使用されているそうだ。

英語をゆっくり発音してくれる機能が追加された
英語への翻訳時のみとなるが、翻訳英語の音声をゆっくりと発音してくれる機能が搭載されている。
英語をゆっくりと発音させるには、翻訳先の言語を「英語(ゆっくり)」に設定すればよい。

実際に試してみた所、たしかに通常よりもゆっくりと発音される。
これは、リスニングの練習にすごく役立つと思う。
通常の英語翻訳をして翻訳音声が聞き取れなかった時は、翻訳結果から他の言語に翻訳を選択し「英語(ゆっくり)」を選択してやることで、ゆっくり発音させられるようになりすごく便利だ。
連続待ち時間が大幅に改善

以前の連続待受時間は公称約60時間とされていたのだが、2020年11月11日のソフトウェアアップデートで、連続待受時間が約132時間に大幅改善されている。
なんと2倍以上も連続待受時間が伸びている。
ソフトウェアアップデートだけでこれだけ改善するとか、これまでどれだけ無駄な処理をしていたんだ?と突っ込みたくなるが(笑)ユーザーにとってはこの改善は非常にうれしい限りだ。
語学学習者にうれしい「発音練習機能」
2020年12月22日(火)のソフトウェアアップデートにより、翻訳履歴にある文章を使って発音の練習ができる機能が追加されている。

正しく発音できれば、チェックマークが表示され、間違っていた場合は、発音が異なっていた単語を赤字で表示してくれる。
画面をタッチする度に繰り返し音声を確認できるし、ボタンを押しながら話すことで何度も発音チェックを行うことが可能だ。
音声再生スピードを「ゆっくり」「とてもゆっくり」に変更することも可能。
この発音練習機能により、いつでもどこでもポケトークSを利用して発音練習が可能になった。
このように、ポケトークSはただの翻訳機にとどまらず、言語学習ツールとしても非常に役立つデバイスに進化を遂げている。
翻訳方向を自動で補正
翻訳方向を自動で補正する機能が新たに追加されている。
ポケトークSでは、翻訳の際に通常は画面真ん中に表示されている矢印をタッチして翻訳方向を手動で切り替えるのだが、翻訳方向補正機能を使用すると、AIが話した言葉を判定して自動で翻訳方向を補正してくれるようになる。
この機能を使用するには、「設定」から「翻訳方向補正」をタップして「翻訳方向の補正を行う」ボタンをON状態にする。※デフォルト設定はオフ。

翻訳方向補正機能は、81言語に対応しており、ミャンマー語は、非対応となっている。
この機能は便利ではあるが、誤判定されることもあるので、確実性を重視するならこの機能は使わず、従来の手動で翻訳方向を切り替えたほうがいいだろう。
すべてのデータを削除する機能
設定画面に「すべてのデータを削除」が追加されている。
「すべてのデータを削除」を実行すると、システム情報(Wi-Fi、Bluetoothなどの設定情報)やユーザー情報(各種履歴)をまとめて削除することができる。
ただ、「工場出荷時に戻す」と何が違うのか個人的にいまいちよくわかっていない。

グローバル通信の延長手続きが端末から可能に!
ポケトークSのグローバル通信付モデルは、2年間のグローバル通信を利用することができるが、残り期限が1年を切ると、端末から延長手続きを行うことが可能になっている。
「設定」画面から「通信プラン」を選択し、「延長する」から「本体から延長」を選択すると手続を行うことが可能だ。
決済方法には、クレジットカードを利用することができる。
延長できる期間は、期日の1年前から期日の1年後まで可能。
中国国内でソフトウェアアップデートが可能に!
中国では、インターネットへの通信規制が行われているため、以前は中国国内でのソフトウェアアップデートができなかったようだ。
2021年4月21日(水)のソフトウェアアップデートより、中国国内でもソフトウェアアップデートが行えるようになっている。
中国国内でソフトウェアアップデートを行うには、メニューの「設定」から「使用エリア」を「中国」に設定する必要がある。

翻訳結果をメールで送信可能になった
ポケトーク・センターへの登録が必要になるが、翻訳結果をメールで送信できるようになっている。
翻訳結果画面の右上のメニューボタン「︙」ボタンから「メールで送る」を選択すれば、ポケトーク・センターに登録されているメールアドレス宛に翻訳結果が送信される。

カメラ翻訳での翻訳結果もメール送信が可能だ。
お気に入りから「他の言語に翻訳」「逆翻訳」が可能に
お気に入りに登録している翻訳を長押しタップするとメニューが表示される。
そこから「他の言語に再翻訳」「逆翻訳」が可能になっている。

ロック画面上に電池残量と通信状況を表示できる
ポケトークSでは、設定からロック画面を表示できるように設定できるようになっている。
ロック画面の設定に「バッテリー残量を表示する」と「通信状況を表示する」オプションが追加されており、好みに応じてそれぞれのアイコンをロック画面上に表示できるようになった。

音声出力非対応言語が簡単に判別可能に!
言語の選択画面で、翻訳結果の音声出力に対応していない言語にアイコンが表示されるようになり、音声非対応言語であることが簡単にわかるようになった。
例えば、音声出力に対応していないカザフ語を選択すると、右側にスピーカーに×がついたアイコンが表示されるようになっている。

最後に
今回、ポケトークSのアップデート情報をもとに新機能をまとめてみたが、ポケトークが驚くほど進化していて非常に驚かされた。
ポケトークの素晴らしい点は、ソフトウェアアップデートで便利な機能がどんどん追加されている所にあると言っていいだろう。今後のアップデートにも是非期待したい所。
ポケトークは、単なる翻訳機にとどまらず、語学学習用デバイスとしての使い勝手もよいので、語学学習に取り組まれる方にもお勧めできるデバイスになっている。
今後はコロナ渦が収まっていくにつれて、ポケトークが活躍する機会も徐々に増えていくだろうし、語学学習にも便利に使えるので、海外に行く予定のある人や語学を上達させたい人は是非購入を検討してみるといいだろう。
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