2020年8月27日(木)より日本でVEGAS PRO 18シリーズが発売された。
以前VEGAS PRO 17について以下の記事で詳しくレビューを行ったが、VEGAS PRO 18になって何が変わったのかを詳しく紹介したい。
今回、VEGAS PRO 18のレビューを行うにあたり体験版(英語)を利用しているので、日本語版とは画面表記が違う事に注意してほしい。
2023年9月21日(木)よりVEGAS PRO 21シリーズが発売!
2022年9月15日(木)よりVEGAS PRO 20シリーズが発売!
2021年9月14日(火)よりVEGAS PRO 19シリーズが発売!
VEGAS PROはどんな動画編集ソフト?
VEGAS PROシリーズは、ノンリニア動画編集ソフトだ。
ドイツ最大手の映像&音楽ソフトウェアメーカーである「MAGIX社」にての開発・販売が行われており、日本国内においては、ソースネクストが販売・サポートを行っている。
VEGAS PROがどんな歴史を持つのか、どのような特徴を持っているのか、具体的な操作方法等については、以下の記事で詳しく紹介しているのでそちらを参照してほしい。
VEGAS PRO 18の販売パッケージについて
「VEGAS Pro 18」シリーズとしては、「VEGAS Pro 18 Edit」、「VEGAS Pro 18」、「VEGAS Pro 18 Suite」という3種類のエディションが用意されている。
「VEGAS Pro 18」と「VEGAS Pro 18 Suite」は、「VEGAS Pro 18 Edit」にいくつかのアプリケーションやプラグインを加えたセット品となっており、以下の製品構成で提供されている。
パッケージ名 | VEGAS Pro 18 Edit | VEGAS Pro 18 | VEGAS Pro 18 Suite |
---|---|---|---|
標準価格(税別) | 14,000円 | 16,000円 | 23,000円 |
映像編集 「VEGAS Pro 18 Edit」 | ○ | ○ | ○ |
サウンド編集ソフト 「SOUND FORGE Pro 14」 | – | ○ | ○ |
メディア管理ソフト 「VEGAS Prepare」 | – | 提供中止 | 提供中止 |
ActionVFX Action Pack | – | – | ○ |
プラグイン3種セット 「Boris FX Continuum」 | – | – | ○ |
NewBlue Transitions 5 Ultimate | – | – | ○ |
各製品の簡単な説明は以下の通り。
VEGAS Pro 18 Edit | 限られた時間の中で、品質を追求する、プロフェッショナルのためのビデオ編集ソフト。 |
---|---|
SOUND FORGE Pro 14 | 業界で20年以上スタンダードとして愛用されている、プロ用サウンド編集ソフト。 |
VEGAS Prepare | 2020年中に提供予定とされていたが、提供は中止された。 |
ActionVFX Action Pack | 有名なアクション映画で使われるような、炎や爆発の効果などを映像に追加する事が出来る。VFXストック映像をシーンにドラッグ&ドロップするだけで、簡単に合成ができる。 |
Boris FX Continuum | 米国BorisFX社のプラグインを3種類収録。プロ仕様の強力な効果で、編集時間を節約できます。アカデミー賞を受賞した組み込みのMocha平面マスキングや追跡ツールも含まれている。 収録プラグイン
|
NewBlue Transitions 5 Ultimate | 65種類のユニークなトランジション効果で、シーンの切り替えをプロレベルに仕上げられる。 |
上述した3つのエディション以外にも、VEGAS Pro 18 Editに特定のソフトや解説ムービー・ガイドをまとめた「VEGASクリエイターズスイート」やキャンペーン時に特別パック商品が販売されたりする。
VEGAS Pro 18は前バージョンよりも低価格化された!
VEGAS Pro 18とVEGAS Pro 17のそれぞれのエディションの標準価格を比較したものが以下の表だ。
バージョン17 | バージョン18 | |
---|---|---|
VEGAS Pro Edit | 43,890円 | 14,000円 |
VEGAS Pro | 63,494円 | 16,000円 |
VEGAS Pro Suite | 84,694円 | 23,000円 |
見てわかる通り、VEGAS Pro 18では、前バージョンの17の時よりも大幅に標準価格が安くなっていることがわかる。
ProとSuiteは、パッケージの構成が違うので単純に比較することはできないのだが、単純なEditエディションの価格だけ見てもかなり安くなっている。
つまるところ、これまでキャンペーンでしか格安購入できなかったのが、VEGAS Pro 18では、キャンペーンを行っていない平時でもかなり安く購入できるように価格帯が変更された。
そのため、急にVEGAS Pro 18が必要となった時でも低コストで入手する事が出来る。
キャンペーン情報
平時でも非常に安く購入できるVEGAS Pro 18シリーズだが、それでもキャンペーン時に購入すればさらにお得に購入する事が可能だ。
当サイトでは、VEGAS PROシリーズの最新キャンペーン情報を紹介しているので興味がある方は是非チェックしてほしい。
VEGAS Pro 18で追加/改善された機能
Style Transfer
Video FXタブに「Style Transfer」という機能が用意された。
「Style Transfer」を利用すると、AIを用いて世界で最も優れた画家や絵画のスタイルをビデオ映像に適用できる。
適用可能なパターンは以下の17種類が用意されている。
- Self Portrait(Picaso)
- Abstract Painting(Picasso)
- The Weeping Woman(Picasso)
- Black and White(KLH)
- The Starry Night(van Gogh)
- The Pandorica Opens(van Gogh)
- Night Alley Walk(Afremov)
- The Great Wave of Kanagawa(Hokusai)
- Fruit(Hunt)
- Light(Afremov)
- Small Worlds 1(kandinsky)
- Sunrise Flowers(Lambert)
- Bark pattern
- Font pattern
- Leaf pattern
- Rick and Morty
- Floral pattern
例えば、「The Great Wave of Kanagawa(Hokusai)」を適用すると以下のようになる。
AI着色機能(白黒映像のカラー化)
Video FXに「Colorization」が追加された。
Colorizationでは、人工知能を用いて白黒の映像を鮮やかな色に着色補正してくれる。
古い映像や歴史的な映像等に色彩を取り戻すことが簡単にできるようになった。
パラメーターで色味を調節する事も出来る。
カラーグレーディング機能がさらに進化
自動コントラスト機能が向上している模様。
あと、RGBパレードの表示で、セパレートだけでなく複合表示が可能になった。
また、ベクトルスコープにスキントーンラインを表示できるようになっている。
モーショントラッキング機能が改善
専用のモーショントラッキングパネルが用意され、モーショントラッキングの操作がより分かりやすくなった。
また、モーショントラッキングの情報を、位置認識機能を備えたプラグインに直接転送することもできるようになっている。
微調整編集機能
新たに搭載された機能で、記録が不十分な問題のあるビデオフッテージを修正することが出来る。
ビデオノイズ削除
低光量によって引き起こされるビデオノイズを取り除き、より鮮明な映像に仕上げることが可能。
フリッカーフィルター
ネオンライトなどで起こるフリッカー(光の点滅)を大幅に低減または除去できる。
また、このフィルターを使用して、特殊効果としてちらつきを追加する事も可能。
ブラックバーフィルター
水平ではなく垂直に保持されたモバイルデバイスで撮影されたビデオからブラックバー(黒いエリア)を瞬時に塗りつぶすことができる。
GPUの設定を自動で最適化
VEGAS PROは、GPUに最適な設定を自動的に構成してくれる。
グラフィックカードドライバを最新の状態に保つのにも役立ち、ハードウェアアクセラレーション全体がさらに強力になり、さらに高速に動作する事が出来る。
プラグイン管理の効率化でワークフローを改善
トランジション、ビデオFX、メディアジェネレーターなどの画面表示が改善され、必要なビデオエフェクトやトランジション等を素早く見つけることが出来るようになった。
頻繁に使用するものはお気に入りとしてマークでき、ワンクリックで表示する事が可能だ。
サードパーティのプラグインをベンダー別に並べ替え、表示する必要のないベンダーを非表示にする事も出来る。
プロジェクト保存でタイムライン上のカーソル位置を記憶
VEGAS Pro 18では、プロジェクトを閉じる際にタイムライン上のカーソル位置を記憶するようになり、次にプロジェクトを開いたときにタイムライン上のカーソル位置を復元してくれる。
これにより、最後に作業を中断した場所から編集を再開する事が出来るようになった。
イベントトリムハンドルを追加で表示できる
タイムラインイベントエッジの操作を行いやすいように、新たなイベントトリムハンドルを表示できるようになった。
これにより、トリミングして編集するエッジをすばやく簡単に特定する事が出来る。
イベント上部にあるハンバーガアイコンからイベントトリムハンドルの表示設定が可能だ。
インクリメンタルプロジェクト保存
VEGAS PRO 18からインクリメンタルプロジェクトセーブ機能が新たに搭載された。
インクリメンタルセーブで保存するたびに新しいプロジェクトが自動的に作成され、新しいプロジェクトの方で編集を続行する事が出来る。
特定の作業を行う前にインクリメンタルセーブをしておけば、気に入らない結果になっても前のインクリメンタルプロジェクトファイルを開けばその時の状態にいつでも戻すことが可能になった。
レンダリングプログレスダイアログの表示内容を拡充
VEGAS Pro 17のレンダリングプログレスダイアログでは、完了パーセンテージと残り時間、経過時間しか表示されない非常に単純なダイアログ表示だったが、VEGAS Pro 18では表示内容が大幅に拡充された。
以下のように、様々な情報が表示されるようになっている。
※今回デモ版(英語)を使用しているので英語表示になっているが、日本語版は日本語表示になっているはず。
設定情報のエクスポート/インポートが可能に
VEGAS Pro 18からオプションメニューより設定情報のエクスポート/インポートが行えるようになった。
他のPCに移行したりソフトウェアアップデートを行う前に設定情報をエクスポートしておけば、アップデートや移行後に設定情報をインポートする事で、これまで使用していた設定をすぐに復元する事ができる。
SOUND FORGE Pro 14をバンドル(Pro、Suite)
VEGAS Pro 18とVEGAS Pro 18 Suiteには、サウンド編集ソフトの「SOUND FORGE Pro 14」がバンドルされている。
SOUND FORGE Proを使うことで、自動ノイズ除去などの強力なオーディオ復元技術を簡単に適用することができる。
VEGAS ProとSOUND FORGE Proの間のシームレスなラウンドトリップ編集で、オーディオ編集、マスタリング機能を大幅に強化する事が可能だ。
VEGAS Prepareをバンドル(Pro、Suite)
「VEGAS Pro 18」と「VEGAS Pro 18 Suite」には、総合メディア管理ソフトの「VEGAS Prepare」がバンドルされている。
ただし、VEGAS Prepareは、2020年10月12日現在まだ提供されておらず、2020年中の提供予定となっている。
VEGAS Prepareを使用すると、フッテージを構造化されたメディアライブラリに整理することができ、個々のファイルに検索タグを追加して強力な検索・フィルタリングが行えるようになる。
VEGAS Pro内のハブエクスプローラウィンドウからメディアコレクションに直接アクセスできるので、メディアの管理と活用をより効率化する事が可能だ。
Boris FX Continuumが付属(Suiteのみ)
「VEGAS Pro 18 Suite」には、米国・BorisFX社のプラグイン「Boris FX Continuum」が付属。
以下の3種類のプラグインが収録されており、プロ仕様の強力な効果を簡単に適用する事が出来る。
- Boris FX Continuum Particles Unit
- Boris FX Continuum Image Restoration Unit
- Boris FX Continuum Film Style Unit
どんなことが出来るのかは以下のビデオを見た方が早い。
Boris FX Continuum Particles Unit
「Boris FX Continuum Particles Unit」は、パーティクルエフェクトに特化した11種類のプラグインユニットだ。
これ本当にすごいプラグインになっていて、モーショングラフィックスとVFX用の12のハイエンドフィルターを使用して、雨、雪、炎、霧、爆発等のエフェクトを簡単に生成する事が出来てしまう。
詳しくは以下の動画を見てほしい。
Boris FX Continuum Image Restoration Unit
「Boris FX Continuum Image Restoration Unit」は、フリッカー除去(ちらつき修正)や、デジタルメイク(スキンレタッチ)、シャープ処理、不必要な要素の削除、レンズの湾曲の修正等が簡単に行える17種類のプラグインユニットだ。
このプラグインがあれば、人物の肌の修正が容易にできるので非常に便利。
Boris FX Continuum Film Style Unit
「Boris Continuum Film Style Unit」は、フィルムの質感をシミュレートする8種類のプラグインユニット。
ActionVFX Action Pack(Suiteのみ)
「VEGAS Pro 18 Suite」には、「ActionVFX Action Pack」が付いている。
ActionVFXは、映画や米人気ドラマのウォーキングデッド等でも使われている有名なライブラリで、VFXストックフッテージをシーンにドラッグアンドドロップするだけで、爆発や炎の演出を簡単に合成する事が可能だ。
映画を自主制作している方などには目から鱗の機能ではないだろうか。
NewBlue Transitions 5 Ultimate(Suiteのみ)
「VEGAS Pro 18 Suite」は、「NewBlue Transitions 5 Ultimate」を利用することが出来る。
65種類のユニークなビデオトランジションが用意されているので、あらゆる状況に応じたシーンの切り替えをプロレベルに仕上げることが可能だ。
VEGAS PRO 18 Suiteがコスパ高し
VEGAS PRO 18 Suiteについてくるプラグインやトランジションは単体で購入すると非常に高価だ。
製品名 | 公式価格 |
---|---|
Boris FX Continuum Particles Unit | $299.00 |
Boris FX Continuum Image Restoration Unit | $299.00 |
Boris FX Continuum Film Style Unit | $299.00 |
NewBlue Transitions 5 Ultimate | $299.00 |
ActionVFX Action Packについては、いくらに相当するものかはわからなかったが、公式サイトで販売されている各バンドルの価格を見てみれば高額であることがわかるはずだ。
VEGAS Pro 18 Suiteは、総額12万以上もする非常に高性能なプラグインやトランジションが付いているのに、たったの23,000円(税別)で購入できてしまうので非常にコストパフォーマンスが高い。
購入するなら、「VEGAS PRO 18 Suite」がお勧めだ。
VEGAS Pro 18の要求スペック
VEGAS PRO 18の動作に必要なスペックは以下の通りとなっている。
対応OS | Windows10(64ビット版) |
---|---|
プロセッサー | 第6世代Intel Core i5(または同等のAMD)以上。2.5 Ghzおよび4コア以上。 4K編集を行う場合は、第7世代Intel Core i7(または同等のAMD)以上。3.0 GHzおよび8コア以上 |
RAM | 8 GB以上(16 GB推奨、4K編集には32GB推奨) |
ハードディスク空き容量 | プログラムのインストール用に1.5 GB 4Kメディア用のソリッドステートディスク(SSD)または高速マルチディスクRAID。 |
GPU |
|
この要求スペックはVEGAS Pro 17の時と変わりはない。
古いPCで起動できないトラブル発生
私がメインで利用しているデスクトップPCのスペックは以下の通り。
- OS:Windows10(64ビット版)
- CPU:第3世代のCore i7
- RAM:16GB
- GPU:NVIDIA GeForce GTX 780
CPUとGPUはVEGAS Pro 18の要求スペックを全く満たしていないのだが、それでもVEGAS Pro 17では起動できていたし問題なく動画編集する事が出来ていた。
しかしながら、VEGAS Pro 18だと起動時に動作を停止してしまい、起動する事ができなくなってしまった。
VEGAS Proは要求スペックに届かない古めのPCでも問題なく利用できたのが特徴の1つと言ってもよかっただけに、古めのPCで起動できなくなってしまったのは残念なところ。
以下の記事を試したところ無事起動できるようになった。
ちなみに、私が現在使用している以下のノートパソコンは要求スペックを満たしており、問題なく起動することが出来た。
まとめ
VEGAS Proは直感的なインターフェースで初心者にも扱いやすく、低価格でプロレベルの動画編集ソフトを導入できるので、これから動画編集を始めたい人に是非お勧めしたい。
VEGAS Pro 18シリーズは、通常価格が非常に安くなったので、既存のVEGASユーザーなら、高額なプラグインがバンドルされているVEGAS Pro 18 Suiteへの乗り換えを検討してみるといいだろう。
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