動画編集ソフト「VEGAS Pro」の最新バージョンである「VEGAS Pro 20シリーズ」が、日本において2022年9月15日よりソースネクストより発売されている。
今回、ソースネクスト様よりレビュー用に「VEGAS Edit 20」エディションを提供して頂けたので「VEGAS Pro 20」で何が変わったのか詳しくレビューしたい。
VEGAS Pro 20の購入を考えている人はぜひ参考にしてみてほしい。
2023年9月21日(木)よりVEGAS Pro 21シリーズが発売!
VEGAS Proはどんな動画編集ソフト?
VEGAS Proシリーズは、ノンリニア動画編集ソフトだ。
一時は、Sony Creative Softwareが開発を担い「Sony VEGAS」という名で親しまれていたのだが、事業を売却したため現在はドイツ最大手の映像&音楽ソフトウェアメーカーである「MAGIX社」にての開発・販売が行われている。
日本国内においては、ソースネクストが販売・サポートを行っている。
VEGAS Proがどんな歴史を持つソフトウェアなのか、どのような特徴を持っているのか、具体的な操作方法等については、過去に紹介した各バージョンのレビュー記事を見るとわかるようになっているので、まずはそちらを参照してほしい。
VEGAS Pro 17のレビュー記事から順番に読んでいけば、どのような変更が加えられてきたのかを把握しやすいはずだ。
VEGAS pro 18では機能が大幅に追加された。
VEGAS Pro 19からはエディション構成が大きく変わり、ユーザーインターフェースのデザインも少し変更されている。
VEGAS 20のエディション構成
以下は、「VEGAS 20」の各エディションの違いだ。
VEGAS Edit 20 | VEGAS pro 20 | VEGAS Post 20 | |
---|---|---|---|
標準価格(税別) | 15,400円 | 39,800円 | 59,800円 |
映像編集ソフト「VEGAS Pro 20」 | ○ | ○ | ○ |
ライブストリーミング 「VEGAS Stream」 | – | ○ | ○ |
クロマキー合成 「Boris FX Primatte Studio」 | – | ○ | ○ |
サウンド編集「SOUND FORGE Audio Studio 16」 | – | ○ | ○ |
サブスクリプション「ActionVFX Free Starter Subscription」 | – | ○ | ○ |
効果(VFX)・モーショングラフィックス作成「VEGAS Effects 4」 | – | – | ○ |
画像合成「VEGAS Image 4」 | – | – | ○ |
各製品の簡単な説明は以下の通り。
VEGAS Pro 20 | 限られた時間の中で、品質を追求する、プロフェッショナルのためのビデオ編集ソフト。 |
---|---|
VEGAS Stream | YouTuberを始めとしたさまざまなプラットフォームでライブ配信ができるライブ配信用ソフト。 |
Boris FX Primatte Studio | アカデミー賞にノミネートもされた「ロード・オブ・ザ・リング」、「ハリー・ポッター」、「スパイダーマン」等の映画にも使用されているプロ仕様のクロマキープラグイン。没入型クロマキーを作成可能。 |
SOUND FORGE Audio Studio 16 | 業界標準のプロ用オーディオ編集ソフト「SOUND FORGE Pro」と同じエンジンを搭載したサウンド編集ソフト。一般ユーザー向けに機能を絞ってより購入しやすくされている。 |
サブスクリプション「ActionVFX Free Starter Subscription」 | 「ActionVFX」が提供する「ActionVFX Free Starter Subscription」は、数千の VFX アセットから1ヵ月あたり素材を5つダウンロード可能な月額$14.99で利用可能なサブスクリプション。これを1ヵ月無料で利用できる。 |
VEGAS Effects 4 | 800種類以上のビジュアルエフェクトやフィルターを搭載した、ビジュアルエフェクト・合成ソフト。 |
VEGAS Image 4 | Adobe Photoshopのようなレイヤーを無制限に設定できる非破壊型RAWイメージ合成編集ソフトウェア。 |
エディション体系と価格に変更はなし
「VEGAS Pro 19シリーズ(VEGAS 19)」と比較して、「VEGAS Pro 20シリーズ(VEGAS 20)」の各エディションの標準価格に変更はない。
VEGAS Edit 19 | VEGAS pro 19 | VEGAS Post 19 | |
---|---|---|---|
標準価格(税別) | 15,400円 | 39,800円 | 59,800円 |
VEGAS 19の価格表
VEGAS Edit 20 | VEGAS pro 20 | VEGAS Post 20 | |
---|---|---|---|
標準価格(税別) | 15,400円 | 39,800円 | 59,800円 |
VEGAS 20の価格表
パッケージ構成の変化
パッケージ構成面では、サブスクリプション「ActionVFX Free Starter Subscription」が新たに追加され、「VEGAS pro 20」と「VEGAS Post 20」エディションで利用可能になっている。
また、「SOUND FORGE Audio Studio」のバージョンが15→16に、「VEGAS Effects」のバージョンが3→4に、「VEGAS Image」のバージョンが3→4にそれぞれバージョンアップされている
VEGAS Pro 20で何が変わった?追加/改善された機能をチェック!
VEGAS Pro 20(エディションではなくソフトウェア本体)は、前バージョンのVEGAS Pro 19から何が変わったのかを見ていこう。
Hue vs. Hue カラーカーブ
カラーグレーディングパネルの右側に新たに「HSL Curves」タブが新設され、その中で「Hue vs. Hue」カラーカーブ機能が利用できるようになっている。
このカーブを使うと、映像の中の特定の色の範囲(色相)を分離して、その範囲の色相を別の色相に変更することができる。
例えば、以下の映像において女性のシャツの青色のみを赤色に変更してみたい。
カラースペクトル上の青色シェード上に範囲を定義し、その中でコントロールポイントを垂直方向に動かすことでその色域内の色を変更することが出来る。
若干スカートの色にも影響を与えてしまっているが、極力他の色に影響を与えずにシャツの色を赤色に変更することができた。
背景や別の個所に同じような青色があった場合は、当然そちらも影響を受けて変化してしまうので、この機能は色の違いが明確な映像で効果を発揮することが出来る。
思い切った色変化以外にも、映像の特定の色域だけに影響を与えるような微妙なカラーグレーディングや補正にも利用することが可能だ。
ファーストアップデート(Build 214)から、カラーセレクターボタンが追加され、プレビューウィンドウでマウスをポイントすることで目的のカラーをサンプリングすることも出来るようになっている。
プロジェクトコレクション
プロジェクトコレクションは、プロジェクトのすべてのアセットを1つのビューに整理し、ハブエクスプローラウィンドウから簡単にアクセスできる機能だ。
プロジェクトを保存すると、ベガスプロは自動的にプロジェクトコレクションを作成し、または既存のコレクションを更新する。
この機能を利用して、進行中のプロジェクトの整理や、メディアファイルを整理するために特別なプロジェクトを作成といった使い方もできる。
今回、試しに、鳥関連の動画だけをインポートした「birdsプロジェクト」と犬関連だけの動画だけをインポートした「dogプロジェクト」を作成してみた。
そして新規プロジェクトを作成し、Hubエクスプローラーを表示させたのが以下の画面。
Hubエクスプローラー上の左ペインに「VEGAS Projects」という表示がありその下に「birds」と「dog」というコレクションが作成されていることがわかる。
各コレクションをクリックすると、そのプロジェクトで使用されているメディアファイルが右ペインに表示される。
そこから必要な動画をタイムラインにドラッグ&ドロップすることでそのメディアを新規プロジェクトで使用することが出来る。
このようにプロジェクト・コレクションを作成すると、他のプロジェクトで利用されているメディアに簡単・迅速にアクセス・再利用することができるようになる。
ハブエクスプローラーからプロジェクトの全アセットのコピーを含むローカルアーカイブを作成することも可能だ。
他には、不要になったコレクションを削除することもできるし、自動コレクション機能自体使用したくない場合は、ユーザーが無効にすることもできるようになっている。
ホワイトバランスコントロール
カラーグレーディングパネルのユーティリティタブにホワイトバランスコントロールが新たに搭載されている。
カメラの設定によって適切な光源温度を考慮せずに撮影した映像は、色が不自然になったり、色合いが悪くなったりすることがある。
カラーグレーディングパネルのホワイトバランスコントロールを使えば、カメラ内のホワイトバランスが適切でない映像を修正することが可能だ。
VST 32-bit Bridge
32-bit VST Bridgeは、64bitのVEGAS Pro環境で32bitのVSTプラグインを使用できるようにするもの。
この実験的な機能を有効にするには、「オプション」→「ユーザー設定」をクリックして「ユーザー設定」ダイアログボックスを表示し「オーディオ」タブをクリックする。
そして、「Enable support for 32-bit VST plug-ins (experimental)」 チェックボックスを選択し、OKをクリックすれば利用できるようになる。
注:この機能はVegas Pro 20のベータ版としてリリースされている。
VST3 support
VST3オーディオプラグインをVEGAS Proで使用できるようになった。
VST3オーディオプラグインをインストールし、VEGAS Proを再起動すれば、ほとんどの場合プラグインを自動的に認識してくれる。
ただし、VEGAS Proが想定しているディレクトリ(C: \Program Files\Common Files\VST3\ )とは異なるディレクトリにインストールした場合は、ユーザー設定ダイアログボックスからパスを追加する必要がある。
ユーザー設定ダイアログボックスの「VST Effectsタブ」から「パスの追加」ボタンをクリックし、プラグインをインストールしたフォルダを追加すればOKだ。
注:この機能はVegas Pro 20のベータ版としてリリースされている。
アニメーション可能なトランジション進行状況
トランジションにおいて、時間経過に伴うトランジションの速度をコントロールし、速くなったり遅くなったり、あるいは逆に進んだりするようにアニメーションさせることが可能だ。
また、ベジエ曲線ツールを使えば、曲線上のアニメーションポイント間の変化率を完全に制御することができる。
この機能を使うには、トランジションの設定画面にある「トランジション進行状況」ボタンをクリックする。
トランジションのキーフレームタイムラインが開くので、「カーブ」ボタンをクリックしてカーブ編集モードにする。
エンベロープラインにポイントを追加し、ポイント右クリックして、希望する曲線の形状を選択する。
ここで、ベジエ曲線タイプを選択することで、カーブハンドルを調整して希望の形状に変更することが可能だ。
シーン検出プラグインでリージョンの作成が可能に
シーン検出プラグインは、レンダリングされたビデオのシーンを自動的に検出し、選択すれば、タイムラインクリップイベントを、検出したシーン毎にイベント分割してくれる機能だ。
シーン検出プラグイン自体は、前バージョンにも存在したが、VEGAS Pro 20では、「リージョンの作成」機能が追加されている。
シーン検出プラグインの設定画面で、分析後に「リージョンを作成」ボタンをクリックすれば、検出したシーン毎にリージョンを挿入してくれる。
このリージョンの作成機能とバッチレンダリング機能の「Render Regions」を活用することでそれぞれのシーン毎にレンダリングファイルを一括作成することも可能だ。
ノーマライズ機能に簡単アクセス!イベント上にボタン設置も可能に!
これまでオーディオイベントに対してノーマライズを行いたい時は、右クリックして表示されるコンテキストメニューから「スイッチ」→「ノーマライズ」という手順を踏んでいた。
VEGAS Pro 20では、オーディオイベントの右下にある「…ボタン(詳細ボタン)」をクリックすれば「ノーマライズ」機能に簡単にアクセスできるようになっている。
また、「表示ボタン設定の編集」から「ノーマライズ」を選択しておけば
タイムライン上の全てのオーディオイベント上に「ノーマライズ」ボタンを表示させることができ、このボタンから直接ノーマライズの制御が可能になる。
ノーマライズスイッチをONにするとノーマライズボタンがハイライト表示されるので、ノーマライズスイッチが作動しているオーディオイベントを簡単に識別することが可能だ。
イベント間でフェードイン/フェードアウトのコピペが可能に
「イベント属性の選択的貼り付け」機能において、イベントのフェードインとフェードアウトの特性を貼り付けることができるようになっている。
これにより、イベント間でフェードイン/フェードアウトを簡単にコピペすることが可能だ。
ビデオプレビューのズーム(Build 214で追加)
ビデオプレビューのズーム機能が、VEGAS Pro 20のファーストアップデート(Build 214)で追加され、ビデオプレビューウィンドウでズームイン、ズームアウトを行うことができるようになった。
「ズームビデオプレビュー」ウィンドウの上部にある「ズームビデオプレビュー」ボタンをクリックしてドロップダウンリストからズームレベルを選択することで簡単にズームレベルを切り替えることが可能だ。
この機能は、ベジエマスキングツールで作業しているときにオブジェクトの詳細を見る時等に便利だし、他にもカラーグレーディング調整の細かい部分を見たい場合等にも役立つ。
キーボードショートカットを利用して、ズームレベルを一時的にバイパスさせることもできる。
マウスホイールによるズームイン、ズームアウトにも対応しており、マウスのセンターボタンをクリックしながらドラッグすれば、プレビューウィンドウをパンすることが出来る。
また、マウスホイールをダブルクリックすれば、瞬時にズームレベルを100%にリセットすることが可能だ。
Hue vs. Saturation カラーカーブ(Build 214で追加)
VEGAS Pro 20のファーストアップデート(Build 214)で、カラーグレーディングパネルの右側「HSL Curves」タブの中に「Hue vs. Saturation」カラーカーブ機能が追加されている。
Hue vs. Saturation カラーカーブのインターフェースは、すでに上述した「Hue vs. Hue カラーカーブ」と同じインターフェースとなっている。
Hue vs. Saturation カラーカーブでは、色相または色相範囲を定義し、その値の彩度を調整することができる。
つまり、映像全体から映像内の特定の色相まで彩度を変更することが可能た。
例えば、赤色の値の範囲を定義し、その値の彩度を上げることで、映像の赤色をより鮮やかにするといったことができる。
例として、以下のオウムの赤色をより鮮やかにしてみよう。
赤色の範囲を定義して、中央のコントロールポイントを上にドラッグすると、オウムの赤色のみがより鮮やかな色になったことがわかる。
Saturation vs. Saturation カラーカーブ(Build 214で追加)
VEGAS Pro 20のファーストアップデート(Build 214)で、カラーグレーディングパネルの右側「HSL Curves」タブの中に「Saturation vs. Saturation」カラーカーブ機能が追加されている。
「Saturation vs. Saturation」カラーカーブでは、、映像の彩度範囲を定義し、その範囲だけの彩度レベルを調整することができる。
これにより、映像全体から、現在の彩度レベルに応じた特定の領域まで、彩度レベルを制御することができる。
ファイルドロップ(サブスクユーザーのみ)
ファイルドロップを使えば、誰でも自分のVEGAS Hubストレージスペースにファイルをアップロードするよう招待でき、そこからファイルをローカルドライブに素早くダウンロードして、プロジェクトで使用することができる。
この機能は、海外版VEGAS Proで提供されているサブスクリプションユーザーのみが使える機能となっている。
日本ではサブスクリプションプランが提供されていないため、日本人は無視してOK。
キャンペーン情報
ソースネクストが実施する激安キャンペーンは今でも健在。
激安キャンペーン時に購入すればVEGAS Pro 20シリーズを非常にお得に購入する事が可能だ。
当サイトでは、VEGAS PROシリーズの最新キャンペーン情報を紹介しているので興味がある方は是非チェックしてほしい。
まとめ
VEGAS Pro 17からVEGAS Proシリーズの変化をずっと追いかけているが、バージョンアップを重ねるにつれ、どんどん使いやすくなっている。
パフォーマンス面が大きく改善すれば、Adobe Premiere Proを脅かすほどのゲームチェンジャー的潜在能力を持っているので、今後のさらなる進化に期待したいところだ。
VEGAS Proは、プロ仕様の動画編集ソフトだが、非常に直感的に操作することができ尚且つ買い切り価格で入手できるので、個人用の動画編集ソフトとしても最適だと個人的には思っている。
これから動画編集を始めたいという方にはぜひ一度「VEGAS Pro 20」を使ってみてほしい。
【公式販売サイトで最新情報をチェック】
コメント